今の気持ち

 

昨日、急に麻里子の直感が来て、どういう風に女性を口説く過程を詳細に知る必要があるから教えてと

ラインがあった。

夜の10時頃。

どう答えていいかわからず、夜中眠れずに考えた。

朝5時にやっと簡単な解答を返せた

「そういう雰囲気になって、〜」

これだけで麻里子は辛いといった

それでも詳細にしる必要があると直感から知らせがあったらしい

 

「俺の家に入れたということが、どれほど麻里子にとって大きな

ダメージになるかよくわかる。」

だから本当に言いたくなかった。

多分もう家には来れないというだろうし、もう会えないと

いうかもしれない。

またあの時点に戻ってやり直し。

 

 

またあの時の繰り返しだ。

せっかく治りつつあった傷口をさらにまた刃物で広げ

塩を塗る行為だ。

 

一体それに何の意味があるのか。

なぜそんなに自分と俺を傷つけたいのか。

もちろん俺がやったことは悪い。悪いよ。

 

でも何回もそこに立ち戻ってこれでもかこれでもかとなぜ傷口を広げるのだろう。

 

 

麻里子はそれを隠していた、騙していたっていうけれど

あの時は何人とどんな関係があったというだけで既にとりつく暇はなかった。

罵声と罵りでそんなことを口に挟む余裕すらなかった。

女性と深い関係になったというだけで死刑宣告で終わりなのに、それ以上のことを

特にどうやって口説いたかなんてことはその時必要とされていなかったし

いう必要性すらなかったように思う。それ以前の段階で断罪されていたからだ。

 

俺はあの時、もう完全に終わったと思っていた。それ以降

何度も砕け散り、何度も必死に拾い集め、麻里子に全く通じない状況の

中で麻里子に何度も語りかけ、それでもバッサリ斬られ、

その繰り返しの中、奇跡的に復活できた。

 

そして、これから二人で魂の道を進もうと決め、二人で苦しい中、毎日電話で

昨晩感じたことや気づきを話し合い

今までできてなかったことを少しずつ少しずつ取り戻していっていると

思っていた。全然癒しなどなく苦しいけれどやっと二人で同じ目標に向かって

歩き初めていると思っていた。

 

なのになぜ麻里子はそれをぶっ潰すんだろう。

また麻里子に切られたあの時からやり直し?

いやあの時以上に難しい状況に陥れることになる。

あの時から今までの努力は何だったんだろう。

何が気に食わなかったんだろう。

それをして麻里子はどうしたいんだろう。

 

最初はもう力が抜け、もうどうにでもなれという気持ちだった。

なぜ今になって過去の痛みをほじくり出すのだろう。

 

でも次第に怒りが込み上げてきた。

 

人を追い詰める時は、最後の最後まで逃げれないようにするものではない。

逃げれないようにして最後のとどめを刺すものではない。

最後の最後だけは逃げ道を用意しておくものだ。

それがどんな憎く殺したい相手であっても、最後の相手への思いやりだ。

 

麻里子の今回はまるで、とことんまで追い詰め、全てを吐き出させ

白日の元に晒し、とどめを刺す。容赦ない断罪だ。

 

麻里子はそうやって俺を裁きたいのだろう。

自分に対して行われた罪をとことんまで裁く。

そして思い知らせる。

重箱の隅までつついて、まだお前は隠していた、まだお前は裏切っていた

5年もの歳月を費やした私を怒らせたらこういうことになる。

どうだ思い知ったか。

 

そうやって断罪することで

俺とお前自身をどこまでも傷つける。

麻里子がそうすることでいつか自分自身がそうされる可能性とその恐れに

立てなくなる。

 

いいさ、それでも。

お前がそれで気が済むのならやればいい。

俺が悪かったのだから、お前はそれをする権利はあり

俺はそれをどこまでも受け止める責任はある。

それを受け入れるよ。

 

でもさ、

俺が怒る理由はそんなことじゃない。

それを行う理由だ。

なんのためにするかだ。

 

それをすることで、俺達が目指す二人の真実の愛のために

必要なら、そしてそこに一歩でも近づけるためにやるのなら

受け入れよう。

 

そうやって全てを暴くのはいい。やりたいなら。

ただし

それを自分で受け止めて、なぜそれが起こったのか

どうしたら良かったのか、そしてこれから二人でどうしていこう

って二人で決めていく、真実の愛への道を進む一歩になるならいい。

その為には暴いたことが例えどんなことであっても自分で全てを受け容れる覚悟とその器

、そしてそれを見る勇気が必要だ。

 

 

でも実際はどうだ。

俺に最後の最後まで吐かせて、吐いたものを見て、その量と汚さを見て

自分で処理しきれず、受け容れる覚悟と器もなく、気持ち悪くなって

何もやる気が起きず、自暴自棄になってそこから逃げようとしている。

 

俺をまた責め、自分を責め、結局どちらも傷つけ、全てを破壊する。

この吐いたものどう処理するの?

その後どうするの?

どうしたいの?

 

遮断して一人ぼっちになって、全てを諦めようとする。

 

麻里子は俺がいいにくい事を隠していたと言う、

違う。言えなかったんだよ。

それはもちろん、俺自身の問題で自分を守りたいから

言いづらいというのはある。

 

それとは別に

言いにくいことを相手に言う時、言えるかどうかは相手による。

いくら相手が言って欲しいと思っていたとしても

言えないときがある。

それは相手にそれを正面から見る勇気と受け止める器と

それを受け容れて次に進もうという覚悟がないと言いづらい。

麻里子に全てなかったと言っているのではないが

取り乱してどうなるかわからない危うさがある。

 

俺の妻のことについても、特に麻里子は妻のことに

過剰反応するきらいがあり、冷静でなくなる

感じがして言いづらかった。

 

麻里子が俺をあばいて断罪した結果がこれなのか?

これをするために麻里子は全てをあばいたのか?

 

おまえが一人ぼっちになって自暴自棄になるんじゃないだろ

俺と向き合ってこれからどうしていくべきか二人で

話しあって進んでいくべきだろ?

違うのか?

 

お前がどんなことがあっても俺と一緒に進んでいく覚悟が

ないなら、いつでもその道から降りればいい。

降りるのは簡単だ。

そして楽な人生が待っている。

選ぶのは麻里子だ。