灯火

麻里子、どうかどんな麻里子でも赦してあげて欲しい。

俺はどんな麻里子でも愛している。

それは変わらない。

麻里子には正しさと正義感があって

それゆえに罪悪感も人一倍強い。

それはきっと素晴らしいこと。

俺にはないもの。

一生懸命に生きるということも誰よりも知ってる

それも俺にはなかったこと。

自分ではないいろんなもののために自分を捧げ生きてきた。

それも誰よりもできる。

だからみんなが麻里子を欲しがる。

俺だってそんな麻里子を欲しかった。

 

でもそんな麻里子は本当の麻里子じゃなかったよね

 

どうか、罪悪感に苦しむ自分自身を許してあげて欲しい

麻里子がしてきたことは自分自身を苦しめることになった

それは自分の感覚を信じ自分で決めてきたことだけど。

それに俺は気づかず助けてあげられなかった。

安心と心からの安堵、安らぎを提供できていなかった。

ごめんね

 

俺、どんな麻里子でも愛しているよ。

麻里子が、こんなちっぽけな俺を愛してくれたように。

 

麻里子に罵倒され、冷徹な言葉をかけられ、俺の言葉が

全く受け入れられない。

何度も何度も自分が壊されて、また立ち上がって

また壊され、自分の情けなさとちっぽけさを知り

そんな中で本当に自分に向き合いたいと心から望んだ。

 

そしてまた、今日も砕け散った。

また、そのカケラを拾い集め自分を見つめ直す。

麻里子を諦めることは自分を諦めること。

麻里子を諦めたら、5年の麻里子の努力は水の泡になる。

そう思っている。

そうやって俺のために立ってくれていた。

 

「半分祈るようで半分どうでもいい感じ」

と言っていたね

半分どうでもいいとは、俺を諦めているということだよね

俺にそんなことをしてくれる価値さえない。

でもそれが麻里子を守ることになる。

あと半分の祈るような気持ちは、こんな俺をまだどこかで

信じていてくれていて、俺がいつか本来の自分を生きて

麻里子の前に立つことを祈っている。

そう思っている。

もしそうなら、

俺はまだほんの少しでも信じていてくれているのなら

それで頑張れる。

また立ち上がれる。

それが俺にとって、真っ暗な中の微かな灯火になる。

その灯火に向かって、何度砕け散っても立ち上がり

そして歩き続ける。

麻里子、こんな俺を愛してくれてありがとう。

麻里子が存在してくれているだけで、俺は本当に幸せ。

本来の俺に戻っていける。

俺が何かきっと思い出せる。

神様に感謝する。

 

麻里子、おまえは俺の灯火。

 

 

f:id:araile:20230414072011j:image